介護医療院に入居するメリット&デメリットを見ていきましょう。医療と介護の両面を併せ持つ施設ですが、注意すべき点もあります。
メリットとしてまず挙げられるのは、慢性疾患に対する医療的ケアを受けながら、長期療養生活を豊かにするための介護サービスを同時に受けられる点です。急な容態変化があった場合でも、医師や看護師などの医療従事者がすぐに対応してくれます。健康管理やリハビリなどにも積極的に取り組んでいるため、個々の状態に応じたケアを受けられるでしょう。また、ターミナルケアや看取りなどの対応も行っており、最後まで安心して生活を送ることができます。
個人の尊厳を守るという意味でも、介護医療院には大きなメリットがあります。これまでの介護療養病床は病院のように大部屋の中でベッドとベッドの間をカーテンで仕切るだけでしたが、介護医療院では家具やパーテーションを組み合わせて個々のプライバシーが守られるように配慮されています。そのため、生活の場として快適な空間となっており、入居者の生活の質向上につながります。病床の設置基準についても、介護医療院は従来よりも広くなっており、それぞれのスペースがしっかり確保されるようになっています。このように、介護医療院は長期療養が必要な高齢者にとって安心して日常生活を送れるというメリットがあります。
介護医療院は従来の介護療養病床に比べて快適な生活環境が整えられており、医療的ケアを受けることができます。そのため、施設の設置や運営には多くの費用がかかります。このことから、入居に際しても通常の介護施設より多くの費用が必要になってしまいます。介護医療院に入居する際にかかる費用は要介護度や施設形態などによって異なりますが、施設サービス費に加えて食費や生活費がかかる点も考慮しなければなりません。
平均的な規模の介護医療院の場合、施設の月額利用料は要介護1で約27万円、要介護5で約45万円です。1割負担の場合は月2.7~4.5万円、3割負担の場合は月8.1~13.5万円となります。これに日々の食費や生活費を加えることになり、従来の介護療養病床と比較すると高くなってしまいます。とはいえ、介護医療院の利用者負担は所得に応じて上限があり、低所得者のための負担限度額も設けられています。また、細かい入居費用については施設ごとの加算や減算、サービス内容などによって異なります。実際に利用する際には複数の介護医療院を比較し、状況に応じて入居する施設を選ぶといいでしょう。